ああ、自転車

今度ブラジルへ転勤になるという友人のご主人が使っておられた自転車を、譲って頂いた。

ワタクシの日本から連れて来た愛車が、フランクフルトにてムスコが乗って行って盗まれて以来の自転車ライフ復活!と意気込んでいたところ、現在自転車通学なムスコから電話。

「あのさ、なんかギザギザのところにガンてぶつけたら、プシューって空気が抜けて、タイヤがヘンなんだけど」

それってパンクじゃないのかい。
まだ学校のすぐ近くだったから、とりあえず学校に戻りなさい。
先生で自転車に詳しい方がおられるかもしれないし、近くの自転車屋さんを聞きなさい。
と返したところ、また電話。

「先生が見てくれたんだけど、なんかさ、タイヤが外れてるんだよね。迎えに来て」

あーあ。ベンツ出動ですか。
取り急ぎ€100だけは財布にあることを確認して、パンクするというイタリア語(avere una gomma a terra)を辞書で確認し、日本人学校へ。
待っていたムスコが抱えている自転車は確かに前輪のタイヤが外れ、後輪もパンク中。
一体どんな乗り方してたらこうなるのか。
ダンナの自転車なのに、また怒られるわ。あーあ。憂鬱……

先生から教わった、学校から少し行った先にある自転車屋さんに乗りかかった船、行ってみる事に。

きっとイタリア語onlyだろうなあ。
ちゃんと通じるかなあ。
ううう、胃が痛い。

近くのスーパーの駐車場に車を停めて、いざ出陣。

「修理をお願いしたいんですけど」
「なんちゃらなんちゃらぺらぺらぺら〜」

うーむ。わからん。
いや、この前輪後輪ともパンクしてるから修理してくれ。
それだけをお願いしてるんだけど、やっぱりなんちゃらなんちゃらぺらぺらぺら〜

通じないワタクシに業を煮やしたのか、彼はま、いいやという感じで自転車を抱えて工房へ入って行った。
そして新しいチュープを見せて、
「このチューブに交換するけど、こっちのタイヤも新しいのにするのか?」
さっきのなんちゃらなんちゃらぺらぺらぺら〜は、チューブもタイヤも両方交換するのか、と聞いていたらしい。
いやいやチューブだけで結構です。
そしたらてきぱきと手際よく修理開始。
そしてこの自転車になんだか興味津々のよう。

「これはどこで買ったんだ?」
「ドイツだけど」
「ふーん。いくらした?」
「えーっと。400ユーロか500ユーロくらい」
「へえ。そんなにするんだ」

もうひとりのお店のおっちゃんと何やらしゃべくっている。
なんとなく高いって言ってる?

そしたらお店のオーナーがやってきて作業に参加。
「これってドイツで買ったらしいよ。4〜500ユーロもしたんだってさ」
「へえ。シニョーラ、この自転車は確かにいいヤツだけど、イタリアじゃ200ユーロで買えるよ」
「えーそうなんですか」

この頃になってようやく気持ちも落ち着いて来て、だんだん彼らが話していることが耳に入ってくるように。
「ほら、ここが当たってるからよくないんだ」とブレーキの調整もしてくれた。
元々この自転車はダンナが組み立てたもの。
なので多少不備があったとしてもおかしくはない状況だったから、素人が見ても、手を入れてもらうとどんどんと車輪を回す音に変化が。
わーい、プロの仕事だ。
パンク修理ついでに、高すぎるサドルを少し切ってもらうことに。

「ムスコさん、これからもっとデカくなるよ。俺は横にしかデカくなれないけどね。このままでいいんじゃないの?」
「うーん。でもちょっと高いのよ」
「じゃ乗ってみて」

またがるムスコを見て、数㎝ほど切る事を了承してくれて、そこからはオヤジ下ネタ飛ばしながら、不思議な器具でカット。

「シニョーラは日本人か」
「そうよ」
「日本のどこから?」
「東京から(この頃めんどくさいからそう答える事にしてる)」
「日本の地震はすごかったな!毎日ニュースで見てるよ」

なんてこともしゃべりながら、すっかり調整されて見違えるほどになった自転車。
さて修理代はいかほど、と聞いたら、20ユーロとのこと。
「安い!」
と言ったら「もっと払ってくれる?」なんて言われてありがとー!と店を後にしたのでありました。

なんとかワタクシのつたないイタリア語でも通じましたよ!!
つうか、ムスコ曰く
「英語しゃべってるより自然だった」
んだそう。
まあね、見るからに外国人が一生懸命イタリア語使ってたら、普通、なんとか理解しようとするでしょうな。

ものすごーく調子良さそうな自転車にまたがって、ムスコは機嫌良く帰って行きましたさ。
ワタクシの頂いた自転車、何かあったらちょっと遠いけど(うちから2kmくらい)ここに持ってくればどうにかしてくれそう。

いろいろあったけど、塞翁が馬ということで、本日は良しとする事にしますか。